ストーリー
- あらすじ
- 1話〜10話
- 11話〜20話
1956年のミラノ。シチリア出身のテレーザ(ジュジー・ブシェミ)は、高級百貨店「パラダイス」で働くこととなった。
最先端の商品を取り扱い、売り場の女性は洗練され個性的と評判の店。経営者のピエトロ(ジュゼッペ・ゼーノ)と宣伝担当のヴィットリオ(アレッサンドロ・テルシニ)は、テレーザが入社するや、美しく、まっすぐな彼女にたちまち魅了される。そんななか、取引銀行の頭取マンデッリの個人的な恨みから融資を止められ窮地に立たされたピエトロは、頭取令嬢のアンドレイーナ(アリス・トリアーニ)に接近。彼女を夢中にさせたうえで、頭取に翻意を迫るためだ。
テレーザは、令嬢と婚約したピエトロが、なぜ自分に優しくするのか分からずに困惑した。
動揺する心に、一途なヴィットリオの誠実さがまぶしい。彼女の気持ちは、ヴィットリオへ傾くが・・・。
第1話:夢の都ミラノ
男まさりのテレーザが、シチリアからミラノへ。身を寄せた叔父の家では、逮捕騒動が起きていた。高級百貨店「パラダイス」のピエトロに、商売を妨害されたと激怒、叔父はトラックに火をつけたという。テレーザがピエトロに、告訴の取り下げを訴えかけるが交渉は決裂。憤慨した彼女だが、ひょんなことから「パラダイス」に採用されることになる。
ピエトロが資金繰りに苦しんでいる。マンデッリ銀行の恣意的な融資ストップにあい、やむなく旧知の密売人から借金をする。
第2話:逆転劇
銀行の嫌がらせが続いている。こんどは返済期日を一方的に短縮し、全額を返せと迫った。不可ならば株式譲渡を要求、あからさまな買収策。ピエトロは宣伝担当のヴィットリオの忠告に従い、セレブが集うバーへ。銀行頭取の娘アンドレイ―ナと知り合う目的だった。
仮採用の試用期間最終日。テレーザに気のあるヴィットリオが、このままでは不採用になる、もっと自分をアピールすべきだと彼女にアドバイスをする。テレーザは難客と名高い伯爵夫人の接客に挑戦、最後のチャンスに賭ける。
第3話:窃盗容疑
テレーザの父親がにわかに、シチリアからミラノへやって来た。昔かたぎの頑固な彼は、どうしても娘を連れ帰らねばならない事情をかかえていた。拒むテレーザと「パラダイス」前で小競り合いになり、ピエトロの仲裁を仰ぐ始末。
ここ数日、「パラダイス」では、万引きが続発していた。当初からテレーザを問題視する販売主任マントヴァーニは、彼女に疑いの目を向ける。正式採用に落ちたモニカが、テレーザの失職とその後釜を狙って、卑劣な策を弄したのだ。
第4話:南部なまり
テレーザは父親説得に失敗、「パラダイス」を辞め帰郷することに。挨拶に来た彼女は、ヴィットリオと再会する。新規の客層開拓で企画した「南部週間」が不調で、頭をかかえる彼は、テレーザがシチリア出身と気づいた。彼女を巻き込み、仰天の作戦に打って出る。
融資問題解決のために、頭取令嬢アンドレイ―ナに接近したピエトロが、彼女の心をつかんでいた。父のマンデッリはやむなく、娘に近づかぬことを条件に、ピエトロとの関係を再構築すると約束する。
第5話:仕事か愛か
父の決めた婚約を解消したアンドレイ―ナに、ピエトロがつれない。ビジネスの再構築の見込みが立ったあとは用済みとでもいうのか。彼女の誇りが傷つく。怒りにまかせて彼を、満座の中で平手打ちにする。
ピエトロが仕入れ価格抑制で、中間業者を通さぬ新機軸を。不振の中小工場を束ね、直接にオリジナル製品をつくる構想である。ピエトロとの協力関係改善の裏で、頭取がひそかに調査を続ける。二次大戦中、弟ウンベルトがピエトロに殺されたと疑っていたのだ。
第6話:ピエモンテ出張
ピエトロの工場買収に応じたベルトーネが、職人たちの反対にあい、苦渋している。ピエトロは説得のため、テレーザを連れて織物の街ビエッラへ。到着早々、露骨な反感に直面したとき、彼女はとっさに見抜いた。家族のようにならねば。テレーザは職人たちの食事の席に就き、ともにワインを傾け、ありのままの自分をさらけ出した。気づくと、雰囲気は一変している。
彼女の才能に驚愕したピエトロ。帰途、双方の気持ちが急速に近づいていた。ミラノへ着き、ふたりは車中で接吻を。
第7話:4月25日
イタリア解放記念日。「パラダイス」ではこの日、恒例の行事があった。ピエトロが乾杯の音頭をとり、全社員で祝うのだ。従軍して捕虜になった彼には、そうすべき深い事情があるのか。奇しくも同じ日、マンデッリが弟殺しの疑いで身辺を洗っていると知る。
テレーザとのキスシーンを目撃したヴィットリオが、ピエトロに不信感を。辞職を申し入れた彼に、ピエトロは断言する。彼女との抱擁は一瞬の迷妄でしかなく、本気ではなかったと。
第8話:接吻
ピエトロの下請けを嫌う叔父は、一家をあげてドイツ移住を決める。テレーザのミラノひとり暮らしが、伯母フランチェスカの尽力で辛うじて実現することに。
ピエトロの過去を洗う調査が、アメリカで直接に資料を点検する局面に。テレーザに、接吻は特別な人としかしないと本心を告げたピエトロだが、調査の進展を知って苦慮している。挙句、ふたたびアンドレイ―ナに接近する。
フェラーリ展示で超満員の「パラダイス」の会場に、喜色満面のアンドレイ―ナが現れた。彼女は公衆の面前でピエトロと濃密なキスを交わす。
第9話:ふたりのピエトロ
ピエトロが遂に、アンドレイーナへ結婚を申し込む。弟殺しの犯人だと猛反対の父に逆らい、彼女はプロポーズを承諾した。
テレーザは結婚話を進めながら、同時に自分にやさしく接するピエトロが理解できない。「パラダイス」にいることが辛く、辞職を決めた。ヴィットリオの懸命な説得が続くが・・・。
売り場の先輩アンナが、失意のどん底に。からだを許したマッシモが、実は既婚者だと判明した。両親に彼を、フィアンセだと紹介するその日に。
第10話:危険な男
ヴィットリオの父親が病死した。ピエトロにさえ明かさず、ひとり悲しみに耐える姿に、テレーザが同情する。ヴィットリオは彼女に、かつて弟の婚約者を誘惑、そのために兄弟は決定的な不仲になったと明かす。自らの愚行を悔いるプレイボーイ。テレーザの心が揺れた。
アンドレイーナが、従妹イレーナと食事の席にピエトロを。イレーナは、収容所で殺されたウンベルトの娘である。ピエトロがかつて父ウンベルトと同じ収容所にいた事を知り「何か知っている事はないか?」と尋ねる。ウンベルトの名に記憶はないと突き放したピエトロが、自室へ戻るや肩の傷あとに手を触れ、苦く回想する。
第11話:火花散る
アンドレイーナが一家所有の作品を披露するべく、絵画展開催に夢中に。会場は「パラダイス」。女主人公気取りの彼女は、本能的に敵意を覚えたテレーザに、故意にこぼしたシャンペンの掃除を命じた。とっさにピエトロがかばう。
親に逆らって故郷を飛び出し、テレーザの部屋に転がり込んだ弟マリオが、密売煙草に関わり逮捕される。身元保証人となって解放させたのは、ふたたびピエトロだった。そのピエトロにヴィットリオが、テレーザへの恋を明言した。まさにライバル宣言である。
第12話:揺れる心
ピエトロがアメリカ滞在の経験から、母の日イベントを思いつく。親子連れで大盛況の当日、厳格な販売主任クララがひそかに泣いている。孤児院の前に我が子を捨てた過去が、胸を衝いていた。ヴィットリオと不仲の弟家族が来店し、兄弟はぎこちなく握手。テレーザの口添えが功を奏した。
ピエトロが頭取夫人であるアンドレイーナの母の不倫を目撃した。彼はそれを利用、アンドレイーナ一家にさらに食い込む。ヴィットリオがテレーザに愛を告白。かわした接吻をテレーザは、突然中断する。
第13話:災厄
テレーザの元婚約者サルヴォがミラノに着き、ボクシングジムのいとこの許に。「パラダイス」に来て、復縁を迫る。暴力沙汰になるところを、ヴィットリオが阻止。悪党はいとこと組み、彼を待ち伏せてめった打ちに。
頭取が娘アンドレイーナの結婚にと、豪邸を与えた。弟ウンベルトに用意したものだと言い、ピエトロにあてつけて弟の写真を飾る条件をつける。鬱屈したピエトロがふっきるように、煙草の吸い殻を押しつけて「パラダイス」を出た。直後、火災が発生する。
第14話:表と裏
火災をボヤで食いとめ、最小限の被害で収めたのは倉庫主任コッラードの功績だった。ピエトロの心からの謝辞を受け、煙草密売に手を貸す己を恥じるが。
すぐれた企業家を表彰するミラノ賞が、ピエトロに授与されることに。賞はモンデッリ財団の創設による。すぐに頭取の小細工を悟ったピエトロが、自己嫌悪で断酒の禁を破る。会社を出ようとして彼は、サルヴォがテレーザを襲う現場に遭遇。チンピラを叩きのめして救い、唯一の悔いは君への愛を捨てたことだとつぶやく。
第15話:友情のはざまで
テレーザの弟マリオが、外泊して帰らなかった。ボクシングの賭け試合に勝ったことから、姉から独立、ジムで居住する気でいた。ヴィットリオを襲った小悪党のたむろする根城。連れ帰ると焦るテレーザに、ピエトロとヴィットリオが同行する。彼女に思いを寄せるふたりの、いわば共同戦線だった。
アンナの検査結果が届いた。妊娠。恐れが現実となり、泣き叫ぶ彼女を、テレーザとシルヴァ―ナが必死でなだめる。
第16話:花ひらく
高慢なデザイナーと意見が合わず、契約交渉を打ち切ったピエトロ。では、オリジナル製品をどうするのか。解決策は目の前にあった。テレーザのスケッチ。ヴィットリオの催促と助言で描いた彼女のデザインは、ピエトロを仰天させた。テレーザには晴れて、デザイナーの道も。お祝いの席で彼女は、ヴィットリオと熱い接吻を交わす。
妊娠の事実を告げ、両親の怒りに触れたアンナが絶望の底に沈んだ。車の排気ガスを引き、自殺を決行する。
第17話:囚われの鶴
瀕死状態のアンナを救ったのは、すねていたクイントだった。彼は、アンナが懐妊中の赤ん坊を我が子にすると誓って、彼女を励ます。
結婚式を控え、アンドレイーナが焦っている。彼女は鶴が、夫婦の絆のシンボルだと信じ、手元で飼うべく日本から取り寄せた。税関へ行ったピエトロは、箱に閉じ込められ悲痛に鳴く鳥の姿が耐え難く、送還を依頼する。
テレーザとヴィットリオが、幸せをかみしめている。美術館の広場で、ふたりだけのダンスに興じながら。
第18話:破局
テレーザをあきらめ、「パラダイス」のために愛のない結婚を決めたピエトロが、自らの欺瞞にいら立つ。断っていた酒をがぶ飲みし、車を大破させた。そのことからヴィットリオと乱闘に。彼はピエトロが贈ったペンダントをつけるテレーザを見て、彼女の心の奥にある真実を悟る。店を辞め、テレーザから去ることに。
ピエトロが遂に決断する。アンドレイーナへ婚約解消を宣言すると、その足でテレーザの元へ。混乱する彼女が、ピエトロをドアの外に押し戻した。
第19話:雲の行方
信頼するガッリの忠告に従い、ピエトロはテレーザに、あるがままの姿を見せようする。迷いを断ち、テレーザも自らに忠実に。
事件がその直後に起きた。絶望と怒りからアンドレイーナが発砲、ピエトロの腕を傷つけた。娘を救いたい頭取が、警察沙汰にしないことを条件に、弟殺しの追求断念を約束するが。最中、もうひとつの事件が発生する。アメリカ航路の「アンドレア号」が、濃霧で沈没したのだ。ガッリの弟が乗組員として、乗船している。
第20話:逮捕
「パラダイス」に激震が走った。ピエトロ逮捕。陰険な頭取が、密売人ヤコビを大金で動かしていた。ガッリがテレーザに、捕虜収容所の事件を明かす。ガッリ殺害を阻止するために、ピエトロは極悪な頭取の弟ともみ合い、正当防衛で殺したのだと。
ピエトロは拘置所移送中に、脱走する。ヤコビの偽証をただそうと、ふたりは対決する。悪童時代の記憶に触れながら。俺にも良心がとうそぶき、ヤコビが証言を翻し、ピエトロは釈放へ。待ち受けるテレーザと、心からの再会を果たした直後・・・。