【ありがとうございます】主演チャン・ヒョクが語る~珠玉のドラマ、とっておき秘話~
放送作家 中村結美
| ◆韓国で大ヒットしたドラマ【ありがとうございます】とは…?◆ |
「生きる」ために、誰もが毎日少しずつ人とはりあって暮らしています。
自分が前に出るためには、人を押しのけるのも仕方ない…いつしかそんな生き方が当たり前になっていく日々。後輩や子供達に、「要領良さ」を求める日常。
でもふと、そんな自分を虚しく感じる瞬間はありませんか…?
韓国ドラマ【ありがとうございます】は、あまりにもお人好しで、人に譲ることしか知らない家族と出会った医者ミン・ギソが、人間らしい心を取り戻していく物語です。
シングルマザーのヨンシンが抱えているのは、医者のミスでエイズに感染してしまった娘ボム、そして認知症のおじいさん。
ドラマとしては重すぎるテーマを、地味な主人公達で描きながらも、【ありがとうございます】は、
最高視聴率24.7%を獲得。韓国放送作家協会ドラマ部門韓国放送作家賞、2007年MBC演技大賞の部門賞を数々受賞するなど、高い評価を受けました。
そして主演のチャン・ヒョクは、このドラマのヒットで兵役による2年間の空白を埋め、俳優としての新境地を披露、見事復帰を遂げることができたのでした。

©All rights reserved by MBC 2007
『【ありがとうございます】を放送してくれて、ありがとうございます!』
…という声も、LaLaTVでの放送スタート以来、続々と寄せられています。
そんな日本での熱い反応に応えるべく! 主演のチャン・ヒョクが日本にやってきました!
そこで今回は、チャン・ヒョク自身の語る、ドラマ【ありがとうございます】の世界をお届けします。
| ◆【ありがとうございます】とチャン・ヒョクの出会い◆ |
3月7日、【ありがとうございます】のLaLaTVでの放送とDVD発売を記念したイベント出演のためチャン・ヒョクが来日!イベント前日に行ったLaLa TV単独インタビュー及び、イベントで彼が語った言葉を、みなさんにご紹介します。
なお、インタビューの模様は、5月にLaLa TV「Café de LaLa」内で放送されるので、お楽しみに。

まず最初に聞いたのは、彼自身とドラマ【ありがとうございます】の出会いについてでした。
2年間の兵役、それは21歳から8年間俳優を続けてきたチャン・ヒョクにとっては、大きなブランクだったと言います。
「除隊後は『撮影現場に戻りたい…』という強い思いがありました。『とにかく撮影現場に戻りたい!』という強い願いを持っていたんです。そんな状況で出会ったのが、このドラマのシノプシスでした。まずストーリーに強くひかれました。そしてミン・ギソというキャラクターは、あたりまえの生活からはみだしてしまった人物ですよね。それがささやかな幸せを大切にしているヨンシン一家との出会い、人間らしさを取り戻していく。私は、まずギソをどれくらいはみだした存在として表現するか、そこに興味を持ちました。そして彼がどのようなプロセスを経て、あたたかい感情を抱くようになるか、どのように人間関係を結んでいくか…に魅力を感じました。そして、演じるに当たっては、どうすればうまく表現できるかな…?と常に考えていたんですが、その結果出来上がった演技に、視聴者の皆さんも共感を抱いてくれたのではないかと思います。そして、私自身が軍隊というあたりまえの生活とはかけ離れた所に居たわけですよね。そこから戻ってきた…という状況にもミン・ギソと重なる部分があったと思います」
実は、イ・ジェドン監督と脚本家のイ・ギョンヒは、「心の奥で人との関係を取り戻したい」と願っているギソの姿が、「現場に戻りたい」と焦がれていたチャン・ヒョク自身に重なるように見えたのだそうです。
| ◆俳優チャン・ヒョクのあゆみ~デビュー・兵役・そして復帰へ◆ |
チャン・ヒョクは、1997年にドラマ【モデル】の、ソ・ジソプの同僚モデル役でデビュー。その後も【日射しに向かって】【学校】など出演作を重ねて行きます。印象的だったのは1999年に大ヒットしたGODのミュージックビデオ【母へ】への出演でした。そのストーリーは…~~貧しい暮らしの中、朝から晩まで働く母は、いつも息子への食事にラーメンを出していました。高校生になった息子は、キムチとごはんだけの弁当を笑った優等生を殴り、母親は学校に呼び出されます。平身低頭する母。息子はそんな母を情け無く感じますが、心の中では尊敬していたのです。しかし、ようやく親子が小さな食堂を構えたその時、母は過労からあまりにあっけなくこの世を去ってしまう…というもの~~このMVで、反抗的ながら心は温かい青年を演じたチャン・ヒョクは、MVのイメージにややコミカルな持ち味も加えて、2001年の映画【火山高】で謎のパワーを秘めた高校生を演じ、一躍スターダムに駆け上がります。そして【僕の彼女を紹介します】は、日本でもヒットを記録。ドラマも続々と放送され期待の高まっていた矢先、兵役不正問題の発覚で入隊を余儀なくされたのでした。
まさに、これから…という時の空白の2年。そこから戻ってきたチャン・ヒョクにとって、ドラマ【ありがとうございます】には、どんな意味があったのでしょうか?

「演技がずっとできない2年間という期間があって、現場に復帰できる日を指折り数えてる日がありました。このドラマの撮影に入って最善を尽くして…心残りなところもありますが、この作品を楽しんでやりきれた…という思いがあったので、終わった後は清々しい充実感のようなものを感じました。このドラマは視聴率も、批評家からの評判も良かったのですが、そういう結果がついてこなくても、そこに臨んだ俳優やスタッフにとっては、いい作品をいい状況で作ることが出来れば、最高の作品になりうるんです。このドラマを作る時間を通して、何かを表現しきれたという…そちらの方の充足感が強かったです。自分の中の飢餓感が満たされたこと。それがこのドラマを通しての一番大きな変化です」。
そして、チャン・ヒョクは、腕の良い外科医を演じるに当たって、万全の準備をして撮影に臨みました。
「友達に医者が居たので、事前に色んなことを勉強しました。手術をする際にどういう器具を使うか、
またメスの持ち方、さばき方。手術室に入るまで、どんな手続きをするのか…などです。また患者に病気が発生したとき、医者がどうやってその病気の原因をつきとめ、治していくのか~というプロセスも、理解するようつとめました。でも最も重点を置いた部分は、実際の医者は患者とどういう向き合い方をするのか? どういう人間関係を築いていくのか? …ということです」。
激しく血が飛び散る場面なども出てくる治療シーンですが、使われていたのは劇用の血液だったので、特に抵抗はなかったとか。ここまで徹底した役作りをしたとあっては、簡単な応急処置くらいならやってもらえそうですよね。
| ◆ドラマ「ありがとうございます」で奏でた共演者とのアンサンブル◆ |
映画【僕の彼女を紹介します】で、ヒロインのチョン・ジヒョンにばかり注目が集まった時、「不満はありませんか?」とマスコミに問われたチャン・ヒョクは、「どちらが目立つか…ではなく、作品はアンサンブルが重要だと思います」と答えたと言います。では、【ありがとうございます】の現場では、共演者達とどんな関係を築いたのでしょうか。
「私が演技に対して考えているのは、いかに共演者とアンサンブルを築き、そのハーモニーを視聴者に伝えていくか…ということなんですね。【ありがとうございます】の共演者のみなさんからは、さまざまなアクションをもらったので、それを受けて私のリアクションも豊かになり、そんなやりとりが良いハーモニーになったのではないかと思います。今回の撮影は、島が舞台だったので、夕方5時になると島から出る船がなくなってしまうんです。リゾートホテルに泊まっていたのですが、僕の持ち込んだDVDをみんなで観たり、いろいろなことを話し合ったり、コミュニケーションを取る時間が非常に多くありました。それがとても贅沢でした」。
さらに、共演者についても…。
「コン・ヒョジンさんは、まるでそこに暮らしているかのように、こまやかな生活表現を自然に出来る方です。そのナチュラルさから学ぶところが多かったですね。ソ・シネちゃんは、あの年代の子供とは思えない、とても大人びた考えを持った少女なんです。撮影の時にも何度も驚かされました。子役というのは、大人よりも子供ならではの集中力を誰もが持っていますが、それに加えて普通の子役が持ち得ないテクニック…例えばカメラワークに合わせた芝居をすることとか、編集によってどんな仕上がりになるかイメージすることなども、わかっているんです。これから成長してどんな俳優になるんだろう。無限の可能性を秘めているな…と感じました」と、語ってくれました。

©All rights reserved by MBC 2007
そして、ミュージカル俳優としての活躍が多く、映像での芝居に慣れていなかったシン・ソンロクからは、現場でいろいろな質問を受けたので、映像での視線の処理などをアドバイスしたり、休憩時間には昼に食べたものの話など、たわいもない会話で盛り上がっていたのだそうです。

©All rights reserved by MBC 2007
| ◆ドラマ【ありがとうございます】で感じた≪歓び≫◆ |
このドラマで、チャン・ヒョク演じるミン・ギソは、尊敬していた医者である父が、ある信念のもと患者を安楽死させた結果、医師免許を奪われ母親から離婚されるという惨めな人生を迎えたのを見て、人の誠意や真心に背を向け心を閉ざしてしまいます。
しかし、嵐の夜、防空壕跡に閉じこめられた子供達を助けようとした、愛する人ヨンシンが重傷を負い、その処置をする際、バカにしていた父に助けを求めるのです。

©All rights reserved by MBC 2007
嵐の中、ヨンシンはまず、エイズにかかっているため、ケガをすれば大事になるおそれのある娘ボムを助けようとします。しかしボムは小さい頃からの母の教えに従い、「友達から助けてあげて」と言って譲りません。その結果、負った重傷。しかし島の人達は輸血用の血液を提供してくれず、次第に容体が悪化するヨンシン。万策尽きたギソは父にアドバイスを求めて電話をします。すると、父は経験に基づいた処置を伝え、息子を励ますのです。その時、ギソは電話口でこう口にします。
「ありがとう」と。

©All rights reserved by MBC 2007
それは、心根はやさしいのに、ボムとヨンシン親子に対しても、憎まれ口ばかり叩いていたギソが、ようやく口にした、初めての感謝のことばでした。
そして…、長年わだかまっていた父にようやく言えた一言、「ありがとう」が、ギソの凍てついた心を溶かし、彼はようやく愛に素直に向き合うようになるのです。実は…全編の中でギソが「ありがとう」と口にするのは、この場面ともう一回だけなのですが、そのことについてチャン・ヒョクが語ったのは、
「印象に残っているセリフは?」という質問を問いかけた時でした。
「13話の終わりで、ギソはヨンシンにこう言います。
『入れてよ、ボムとヨンシンとおじいさんの輪に。家族になりたいんだ、俺も…』
ミン・ギソという人物は、感謝の心を持っていても、素直に『ありがとう』と口に出来ない男なんです。だからこそ、ヨンシンに告げた『家族になりたい』という表現は、彼なりの愛の告白であり、『ありがとうございます』という気持ちの表れではないかと思います」。

©All rights reserved by MBC 2007
背を向けていた父を許し、『ありがとう』と言えた時、家族がバラバラになり恋人を亡くしたギソの、止まった時間が動き出します。その結果、自分に奇跡を起こしてくれたヨンシン親子に、感謝の気持ちを伝えるため、この言葉を口にするのです。

「元々このドラマには、【私たちがいた】というタイトルが付けられていたんです。その意味は、【私たちが共にいた時間】つまり『一緒にいてくれて、ありがとう』ということなんですね。結果的に、その【ありがとう】の部分がタイトルになりました。
『ありがとうございます』という言葉は、意外に相手に伝えるのが難しい言葉だと思うんですね。様々な人と出会い、関わり合う中で『心を開くこと』は、そんなに簡単なことではありません。それを乗り越えて、心を開いて交流を重ねて、その結果として口にするのが『ありがとうございます』という言葉だと思います。私にとっての『ありがとうごいます』は、やはり周囲に居る方々と一緒に何かを共有したり、共に過ごした時間に対する感謝の気持ちだったり、配慮する心じゃないかと思います」。
| ◆ドラマが現実になった奇跡! 『家族になりたい』◆ |
イベントでは、こんな質問が…。
「最近、『ありがとう』と心から感謝したことは?」
すると…、
「ありますよ。私には、新しい家族ができたんです。その家族に心から感謝しています」。

2008年になって早々、チャン・ヒョクは結婚を発表。そしてこの2月には男の子が誕生したばかりなのです。この言葉を発したときのチャン・ヒョクの幸せそうな顔!
『家族になりたいんだ!』
このセリフは、ドラマの中のギソに奇跡を起こしただけでなく、演じたチャン・ヒョク自身にも奇跡を起こしたのです。そして、このコメントで日本のファンに結婚、長男誕生報告を果たしたチャン・ヒョク。会場からは祝福の温かい拍手が巻き起こりました。
| ◆オフトーク、素顔はまだまだ少年? ブルース・リーのフィギュアに茫然!◆ |
実はこの日のインタビューの冒頭で、チャン・ヒョクがコレクションしているというブルース・リーの6分の1スケールのフィギュアをプレゼントしたのです! どんな表情を見せてくれるかと思ったら…意外にアッサリと受け取り…インタビューは始まったのですが…!
あとでスタッフに聞いたところ、実はこの6分の1スケールのフィギュア、3種類あり、「燃えよドラゴン」 の黒い中国服、「死亡遊戯」の黄色いスーツのものは、すでに自分自身で買って手に入れていて、欲しくて欲しくてたまらなかったのが、今回LaLaTVが贈った、「ドラゴン怒りの鉄拳」の白い上着のフィギュア。そのため、もらった瞬間チャン・ヒョクは、「どうして僕がこれを欲しがっているのがわかったんだろう?」ということが頭を駆けめぐり、茫然としたまま上の空で、「ありがとうございます」と答えていたのだとか。控え室に戻ってからは手放しで喜んでいたとか。その少年のようなリアクションは、見られませんでした。うーん、残念!
実は、チャン・ヒョクにインタビューするのは、去年『韓流ロマンチックフェスティバル』で来日した時に続いて二度目でしたが、前回に引き続き今回も、真面目に、ひとつひとつ丁寧に考えて答える静謐な姿がとても印象的でした。
そう…映画やスクリーンでおなじみの反抗的なキャラは、彼の演技力によるたまもの。素顔の彼はとても大人っぽく、静かな人なのです。
チャン・ヒョクが、ブルース・リーに傾倒し、彼が作りだした武術ジークンドーを何年も続けていることはよく知られています。実はこの武術、ケンカがメチャクチャ強かった…というリーが編み出しただけあって、実戦に応用できるよう、武術でありながら型が殆ど無く、修練する者は自ら型を作りだし、状況に応じて無限に組み合わせることで技を深めていく…という独創的な武術です。その反面、ワシントン大学哲学科に学び、禅の精神についても掘り下げていたリーの教えを生かし、哲学的な教えにも満ちているのです。
そこで、最後にこう問いかけてみました。内省的で哲学的なのは、武道の影響ですか? それともこれまで演じてきた役によって培われたものですか? …と。
すると…。
「おそらくは2つとも私に影響を与えたと思います。
日常、人はどういう選択をし、その結果どんな経験をするかで変わっていきますよね。その積み重ねによって、人は成長していくものだと思うんですが、ドラマの中でキャラクターを演じることで、私自身も間接的にその人生を経験します、そこから得るものが大きいということがまず1つ上げられると思います。もう1つは、ジークンドーという武術を通じて哲学的な考え方を学んだ…ということです。
また実生活で、さまざまな人達との出会いを通じて学んだり感じたりしたことも、私自身に変化を与えたのではないかと思います」。
これからは、韓国・アメリカ・シンガポール合作映画の【ダンス・オブ・ザ・ドラゴン】の公開、そして今年1月からオンエアされたドラマ【プランダン】の放送が待ち遠しいチャン・ヒョク。
「具体的な目標を決めず、さまざまな作品の現場で充実した時間を過ごしたい」
と答えた彼のさらなる活躍が楽しみです!

===========================
<「ありがごとうざいます」 情報>
◆LaLa TV 放送
*現在好評放送中!毎週(土)19時 ほか
*5月「Café de LaLa」チャン・ヒョク来日特集 5月1日(木)18:45、22:45ほか 5月多数放送
*6月一挙放送決定!
★番組情報はこちら>>> http://www.lala.tv/programs/thankyou/index.html
◆DVD発売情報
DVD-BOX Ⅰ 発売中
DVD-BOX Ⅱ 2008年4月2日 発売
価格:各15,960円(税込)
レンタル同時リリース(Vol.1-4好評レンタル中 4/2~Vol.5-8)
販売:㈱エスピーオー
★公式サイトはこちら>>> http://arigato39.jp/index.html

















