放送作家・中村結美
いよいよLaLaTVで、華麗なる王朝スキャンダルワールドの放送がスタートしました。
韓国王朝からは、韓国で大ヒットを記録した【王の男】を放送しました。
史上最悪の暴君と言われた李氏朝鮮第十代王・燕山君(ヨンサングン)。愛人、張緑水(チャンノクス)と共に韓国では誰知らぬ者のない、この歴史上の人物を、アッと驚くフィクションで生まれ変わらせたのが、この映画でした。
最初は韓国の映画館でセリフもわからないまま見たにも関わらず、見終えた後のスケールの大きな感動は言葉に尽くしがたいものでした。長い作品にも関わらず一人一人の人物の心情がうまく描かれていて、無駄なシーンが一つもない! でもこの作品、産声を上げるまではなかなかの難産だったのです。
| ◆1stスキャンダル! 主役は誰に?◆ |
そもそもこの物語の原作は【爾】という演劇。“爾”とは臣下を高めて呼ぶ時の呼称。つまり王が女のように美しいコンギルを呼ぶ時の名称で、演劇での物語は、王に芸と肉体を捧げ、一番低い賤民の身分から鐘四位の宮廷芸人まで成り上がるコンギルと燕山君との同性愛がメインに描かれていました。しかし映画【王の男】ではコンギルの兄貴分・芸人チャンセンの比重が大きくなり、三角関係のような形で話は進んでいきます。
今でもそうですが、韓国ではまだまだゲイに対しての偏見が強く、そのせいもあったのかどうか、チャンセン役のキャストは難航しました。まず最初に打診されたイ・ジョンジェが断り、続いてチャン・ヒョクで準備が始まったのですが、例の兵役忌避問題が公になり彼は入隊。三人目に声がかかったのが、カム・ウソンだったのです。
そんな経緯を知っていたカム・ウソン。断わるつもりだったのに、あまりにシナリオが面白く、引き受けてしまったのだとか。その後に行われたコンギルのオーディションでは、最終的候補が三人にしぼられ、面接の時にはカム・ウソンも立ち合ったそうです。ところがその中で、一番しぐさやたたずまいが女っぽくなかったのがイ・ジュンギ。なのでカム・ウソンは彼が監督に選ばれた時、ちょっと意外な気がしたとのこと。しかし結果は、映画の大ヒットにより、イ・ジュンギはあっという間にスターダムに駆け上ります。そして、従来の男っぽいアイドル人気から一転、カン・ドンウォンに続き、ユニセックスアイドルのブームを巻き起こすことになるのです。
| ◆2ndスキャンダル! 綱渡り猛特訓 & ワークショップ の成果は?◆ |
役者達に与えられた準備期間は2か月。当初監督から「チョルタギ(綱渡り)のシーンは全て吹き替えで」と言われていたらしいのですが、それに「役者として納得できない」と異を唱えたのがカム・ウソン。綱渡りを習得してみせると宣言します。…一回り年上の大先輩が「やる!」と言う以上、イ・ジュンギもチャレンジすることになり、猛特訓が始まりました。他にも太鼓、踊り、仮面劇。さらには演劇の稽古のように、台本にはない場面を即興の芝居で生み出す…というワークショップも重ね、そこから新たな場面が台本につけ加えられました。こうして、役への理解も深め、俳優達の絆も深まったところでクランクインとなったのです。
ちなみに気になる綱渡り猛特訓の成果は、カム・ウソン、イ・ジュンギ共に、クランクインの頃には、低い場所なら見事に綱を渡りきるほどにマスター。本編を良く見てみると、本人が実際に綱を渡っているところ、下に足場を置いて演じているところ、吹き替えで演じているところがよくわかります。ぜひこの機会にじっくりとチェックしてみて下さい。
その傍ら、イ・ジュンギには、「王を惑わす色気を身につけろ」という監督からの厳命が。
そこで、筋肉を落とすダイエットをしつつ、カム・ウソンからのアドバイスで女優の“目の使い方”を盗む特訓をしたそうです。では、メインキャスト唯一の女優であった緑水(ノクス)役のカン・ヨンソンからは何かアドバイスをもらったかというと…。王の愛を奪い合うライバルだったからかどうか、彼女の目の演技は参考にしなかったそうです。まぁ睨んでばかりの役でしたからね。
| ◆3rdスキャンダル! 映画版では同性愛は払拭?◆ |
原作の演劇では、物語の焦点になっていた同性愛。しかし来日時の記者会見で、カム・ウソンと燕山君役のチョン・ジニョンが強調していたのは、王はコンギルを「愛していたのではなく執着した」のであり、チャンセンがコンギルに抱いていたのは、「妹に対するような愛」であるということでした。私としては、二人のソウル大学出身知性派俳優から理路整然と「同性愛ではない」と説明されると、「少しは、や~らしい関係性を残しておいて欲しいのに」と不満ではあったのですが(笑)、その解釈の違いが、舞台版とは一味も二味も違う映画版の魅力となっていることも事実。
燕山君と男同士で男を奪い合うのではなく、コンギルを一人の人間として自由にしてやりたいと願う愛を抱く…それがカム・ウソンが描いたチャンセンの役作りでした。よく見てもらうとわかりますが、チャンセンの口元には古い傷痕があります。映画の後半、なぜその傷を負ったかを、囚われたチャンセンが延々と語るシーンが出てきます。実はこれ、事前のワークショップでカム・ウソンが生み出したシーン。つまり、ここでしゃべっているセリフは、カム・ウソンが考えたオリジナルなのです! それをよーく聞くと、チャンセンがなぜ主を失い芸人に身分を落としたのか。一人で自由に生きられるのに、なぜコンギルと一緒に居るのか、二人の深い深い関係がジワッとしみてきます。
字幕付きで改めて観た時、最も胸にしみたのがこのシーンでした。それを生み出したのがカム・ウソン本人だとインタビューで知った時には、彼の俳優としての力量に改めてびっくりしました。ぜひ、噛みしめてご覧下さい。
さて、【王の男】については、まだまだ語りたいことがつきません。
今回は、ひとまずこれまで。
次回は、カム・ウソンとイ・ジュンギにインタビューした時、彼らが聞かせたくれた秘話=スキャンダルを、お届けします!
写真すべて=提供:中村結美
コメントを投稿
<個人情報取扱いに関して>
●コメント投稿いただく際の必須入力項目である個人情報(メールアドレス)の管理はLaLa TVを運営しているジュピターエンタテインメント(株)において行い、ご投稿いただいた内容に関してお客様にご連絡させていただく際や、トラブルが発生した際の法的処理のために使用致します。
●個人情報の取扱いに関する責任者及びお問い合わせ窓口
個人情報保護管理: 代表取締役社長 須田真司
お問合せ
●全ての入力項目にお答えいただけない場合、投稿することはできません。